症例

口腔心身症による歯ぐき・頬の内側の痛みが、ほとんど気にならない状態まで改善した症例【70代女性】

長期間続く上下の歯ぐき・頬の内側の痛み

70代女性の症例です。

前年から、上下の歯ぐきや頬の内側に強い痛みが現れるようになりました。

朝から夜まで口の痛みが続く日もあり、食事を取ることがつらく、夜も痛みのために眠れない状態が続いていました。

口腔心身症を専門とする歯科・医療機関や心療内科などを受診し、治療を継続されていました。

その後はペインクリニックにも通院し、ブロック治療、レーザー治療、注射、点滴、薬物治療などを受けましたが、ご本人が十分な改善を実感できない状態が続いていました。

別の鍼灸院でも施術を受けられましたが、大きな変化を感じられなかったため、当院へ来院されました。


初回来院時の主な症状

初回来院時に強く訴えられていた症状は、次のとおりです。

  • 上の歯ぐきの痛み
  • 下の歯ぐきの痛み
  • 頬の内側の痛み
  • 顎周囲の痛みや違和感
  • 食事を取りにくい
  • 痛みにより眠りにくい

口腔内の症状以外にも、

  • 途中で目が覚める
  • 以前から続く不眠傾向
  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 便秘傾向
  • 疲労感

などがみられました。

痛みのある歯ぐきや頬の内側だけを見るのではなく、顎周囲や首肩の筋緊張、身体の動き、睡眠や食欲などを含めて全身の状態を評価しました。


口腔心身症とは

口腔心身症とは、歯ぐき、舌、頬の内側、口唇、顎などに痛みや違和感が続き、歯科的な検査だけでは症状の強さを十分に説明できない場合などに用いられることがある考え方です。

症状には、次のようなものがあります。

  • 歯ぐきが痛む
  • 頬の内側が痛む
  • 舌や口の中がヒリヒリする
  • 口の中が焼けるように感じる
  • 歯に大きな異常がないのに歯や周囲が痛む
  • 痛む場所や強さが時間帯によって変化する

睡眠不足、疲労、精神的な負担、不安などが、痛みの感じ方や症状の変動に関係する場合もあります。

ただし、口腔内の痛みには、虫歯、歯周病、口内炎、感染症、神経障害、腫瘍など、医療機関での確認が必要な疾患もあります。

原因の分からない口の痛みが続く場合は、まず歯科や口腔外科などで必要な検査を受けることが重要です。


当院での評価

当院では、これまでに受けられた診断や治療経過を確認したうえで、口腔内だけでなく身体全体を評価しました。

主に確認したのは、次のような点です。

  • 頸部・肩部・背部の筋緊張
  • 顎周囲や口周囲の筋肉の緊張
  • 顎関節の動き
  • 口の開けやすさ
  • 頸部や肩関節などの関節可動域
  • 身体を動かした際の左右差
  • 姿勢や呼吸の状態
  • 睡眠の状態
  • 食欲や便通
  • 疲労の程度
  • 施術前後の身体の変化

筋肉の緊張が強い場合には、顎関節や首肩などの動きも小さくなることがあります。

そのため、筋肉が硬いかどうかだけでなく、顎や首、肩などを実際に動かした際の可動域や動きやすさも確認しました。

毎回の施術前後に筋緊張や関節可動域を再評価し、変化が十分でない部分については、身体の反応を見ながら再度調整しました。


開口動作の施術前後の変化

口腔心身症の70代女性における施術前後の開口動作の比較画像

施術前後の開口動作を比較した画像です。顎周囲、頸部、肩部、背部などを含めて施術した後、筋緊張が和らぎ、施術前よりも口を開けやすい状態が確認できました。画像は開口動作の変化を示す参考資料であり、痛みの程度や口腔心身症の改善を画像だけで判断するものではありません。

施術前は、顎周囲や頸部などに強い緊張がみられ、口を開ける動作にも制限がありました。

顎周囲だけでなく、頸部、肩部、背部を含めて全身を施術した後は、筋緊張が和らぎ、施術前よりも口を開けやすい状態が確認できました。

この画像は、痛みの程度を直接表すものではありませんが、当院が口腔内の症状だけを見るのではなく、顎周囲の筋緊張や開口時の動きまで評価していることを示す参考画像です。

なお、撮影条件や姿勢などによって見え方が変わるため、画像のみで施術効果を判断するものではありません。


当院で行った施術

施術では、自律神経の働きを考慮しながら、全身状態に合わせた鍼灸施術と手技を行いました。

主に確認・施術した部位は、

  • 頸部
  • 肩部
  • 背部
  • 顎周囲
  • 口周囲
  • その他、全身状態に応じて必要と判断した部位

です。

首や肩だけに施術を限定せず、症状と関係が深いと考えられる顎周囲や口周囲の筋肉群まで丁寧に確認しました。

筋緊張が強く、関節可動域が小さくなっている部分については、過剰な緊張が和らぎ、身体を動かしやすくなるよう施術しました。

顎周囲についても、痛みのある場所に強い刺激を加えるのではなく、顎や口周囲の筋肉の状態、開口動作、施術に対する反応を確認しながら刺激量を調整しました。

施術内容は一律ではありません。

  • その日の痛みの強さ
  • 睡眠状態
  • 食欲
  • 疲労
  • 筋肉の緊張
  • 関節可動域
  • 前回施術後の反応

などを確認し、その日の身体の状態に合わせて施術しました。


施術経過

施術開始時

来院時は、上下の歯ぐきと頬の内側の痛みが強く、朝から夜まで痛みが続くこともありました。

食事を取ることがつらく、痛みのために十分眠れない日もあり、日常生活に大きな支障が出ていました。

症状が長期間続き、これまでにさまざまな治療や施術を受けていたため、最初から強い刺激を加えるのではなく、施術後の反応を細かく確認しながら進めました。


施術を継続するなかで

施術を重ねるなかで、歯ぐきや頬の内側の痛みに少しずつ変化がみられるようになりました。

初めは一日の大部分で感じていた痛みが、

  • 痛みの強い時間が短くなる
  • 痛みを感じない時間が増える
  • 食事中の負担が軽くなる
  • 日常生活で痛みを意識する時間が減る

というように、徐々に変化していきました。

毎回、痛みの強さだけでなく、頸部、肩部、背部、顎周囲の筋緊張や関節可動域、口の開けやすさを確認しました。

筋緊張が和らぎ、首肩や顎周囲の動きが変化するよう、その都度施術内容を調整しました。


計21回の施術後

計21回の施術を行った時点で、上下の歯ぐきと頬の内側の痛みは大幅に軽減しました。

ご本人の自覚としては、

痛みがほとんど気にならず、日常生活に支障がない程度

まで回復されました。

食事や睡眠への影響も軽くなり、痛みに耐えながら一日を過ごす状態から、普段の生活を送れる状態へと変化しました。

次回来院時には症状がほぼ落ち着いていたため、施術は行わず、状態の確認のみとなりました。

本症例では痛みが非常に強く、ご本人も早期の改善を希望されていたため、身体の状態と施術後の反応を確認しながら、比較的集中的に施術しました。

施術回数や頻度は、症状の程度、体力、生活環境、ご本人の希望などによって異なります。

すべての方に同じ回数や施術頻度をおすすめするものではありません。


患者様からいただいた口コミ

口腔心身症による口の痛みについて患者様が投稿したGoogle口コミ

長期間続いていた口腔内の痛みについて、患者様ご本人が投稿された口コミです。個人の感想であり、施術による変化には個人差があります。

患者様から、次のようなご感想をいただきました。

朝から夜まで口の痛みに耐え、食事を取ることもつらく、夜も痛みのために眠れない日が続いていました。
鍼灸施術を受けるなかで、徐々に確実に変化を感じるようになり、痛みが和らぎ、日常生活に支障がない程度まで回復しました。
おかげさまで楽しい毎日を過ごしています。

長期間にわたって食事や睡眠にも影響していた痛みが軽減し、普段の生活を取り戻せたことが、患者様の文章からも分かります。

これは患者様ご本人の感想であり、すべての方に同じ変化が現れることを保証するものではありません。


本症例で大切にしたこと

本症例では、痛みがある歯ぐきや頬の内側だけに施術を行うのではなく、

  • 首や肩、背中の筋緊張
  • 首や肩などの関節可動域
  • 顎関節の動き
  • 口の開けやすさ
  • 顎周囲の筋肉
  • 口周囲の筋肉
  • 睡眠
  • 食欲
  • 便通
  • 疲労
  • 施術前後の身体の反応

を継続して確認しました。

口腔心身症では、痛みを感じている場所だけに原因があるとは限りません。

全身の筋緊張や関節の動き、顎・口周囲の状態を細かく評価し、身体全体の過剰な緊張が和らぐよう施術しました。

また、長期間続いている痛みでは、刺激を強くすれば早く改善するとは限りません。

施術後に痛みや緊張が強くならないよう、毎回の反応を確認しながら刺激量を調整しました。


考察

本症例では、上下の歯ぐきと頬の内側の痛みが長期間続き、口腔心身症を専門とする医療機関、心療内科、ペインクリニックなどで治療を受けていました。

ブロック治療、レーザー治療、注射、点滴、薬物治療などを継続しても、ご本人が十分な改善を実感できない状態が続いていました。

当院では、口腔内の痛みだけを局所的に捉えるのではなく、

  • 頸部、肩部、背部の筋緊張
  • 顎周囲、口周囲の筋肉の状態
  • 顎関節の動き
  • 首肩などの関節可動域
  • 開口動作
  • 睡眠
  • 食欲
  • 便通
  • 疲労
  • 全身の緊張状態

を総合的に評価しました。

そのうえで、自律神経の働きを考慮した全身への鍼灸施術と、顎・口周囲の筋肉や動きに対する施術を組み合わせました。

筋緊張や関節可動域を毎回確認し、変化が不十分な部分には身体の反応を確認しながら再度施術を行いました。

計21回の施術後には、ご本人の自覚として、口腔内の痛みはほとんど気にならず、日常生活に支障がない程度まで軽減しました。

ただし、この変化を鍼灸施術だけによるものと断定することはできません。

これまでに受けていた医療機関での治療、服薬、生活状態の変化、自然経過なども関係している可能性があります。

本症例は、必要な医療機関での診療を受けたうえで、全身状態と顎・口周囲を評価し、鍼灸施術を併用した一例です。


まとめ

本症例は、前年から上下の歯ぐきと頬の内側の強い痛みが続いていた70代女性の症例です。

医療機関やペインクリニックなどで治療を受けていましたが、ご本人が十分な改善を実感できない状態が続いていました。

当院では、痛みのある口腔内だけを見るのではなく、頸部、肩部、背部、顎周囲、口周囲の筋肉の緊張、関節可動域、開口動作、睡眠、食欲、便通、疲労などを含めて全身を評価しました。

自律神経の働きを考慮した全身施術に加え、顎周囲や口周囲の筋肉群、顎関節や首肩の動きに変化が現れるよう施術しました。

計21回の施術後には、上下の歯ぐきと頬の内側の痛みが大幅に軽減し、ご本人の自覚として、ほとんど気にならず、日常生活に支障がない状態まで回復されました。

当院では、現代医学と東洋医学の両面から身体を評価し、医療機関での治療経過を確認しながら、その方の状態に合わせた鍼灸施術を行っています。

歯科などで検査や治療を受けても改善しにくい歯ぐきの痛み、頬の内側の痛み、口腔内の違和感が続いている方は、必要な医療機関での診察を受けたうえで、鍼灸を選択肢の一つとしてご相談ください。


症例掲載について

本症例は、患者様の同意を得たうえで、個人が特定されないよう氏名、時期、医療機関名などの情報を一部変更または省略して掲載しています。施術による変化や経過には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。口腔内の痛みが続く場合は、まず歯科、口腔外科などの医療機関を受診してください。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。