施術時に行う検査法などについて


不調の原因は、患部(不調を感じている部位)だけに存在しているとは限りません。

 当院では、患部だけでなく、舌や脈、腹、背部、手足、経穴(ツボ)、皮膚、筋肉、関節、姿勢などを観察し、徒手検査法などを行うことで、全身の状態を分析して行きます。そのような、観察や検査を行うことにより、不調の原因を把握し、各患者様に適した施術法を決定することが可能となります。

01舌の観察

 舌体の色や形、舌苔(舌表面にあるコケ)の色、舌下静脈(舌裏にある血管)を観察します。

02脈の観察


 両手首の脈(橈骨動脈)に触れ、脈管や拍動の状態などを観察します。

03腹部の観察


 腹部の反応や内臓の働きなどを観察します。


 引用 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ『鍼道秘訣集 2巻』夢分流臓腑之図(京都大学附属図書館所蔵) https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/

04経穴(ツボ)の観察

 経穴(ツボ)の状態を観察することにより、どの経絡、経穴(ツボ)に問題があるのかを捉えて行きます。

経絡経穴鍼灸模型

 全身には、十二種類の経絡(太陰肺経、陽明大腸経、陽明胃経、太陰脾経、少陰心経、太陽小腸経、太陽膀胱経、少陰腎経、厥陰心包経、少陽三焦経、少陽胆経、厥陰肝経)が流れており、その経絡上に経穴ツボ)が存在していると言われています。       

 上記のような様々な観察を行いますが、お一人ずつ体質が違うため、反応の出方は多種多様です。東洋医学では、舌、脈、腹、経穴(ツボ)など、全身を観察することにより、五臓六腑注1や気血津液注2の、どこに問題があるのかを判断したり、体質が虚実寒熱注3の、どのタイプに属するかを分類したりする考え方があります。

注1
五臓(肝、心、脾、肺、腎) 六腑(胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦)
注2


津液
元気やエネルギー
血液
体内の水分、体液
注3
元気が不足して弱っている状態。
興奮し過ぎている状態。
身体を温める機能が低下して、冷えている状態。
身体に熱症状や熱所見、ほてりがある状態。