40代女性|右耳の突発性難聴
40代女性の症例です。
発症する数日前から精神的なストレスが重なり、その後、突然、右耳の聞こえにくさや耳の詰まり感、耳鳴り、めまいなどが現れました。
症状が現れた翌日に耳鼻咽喉科を受診し、右耳の突発性難聴と診断され、薬による治療を開始されました。
医療機関での治療を継続しながら、発症から6日後に当院へ来院され、鍼灸施術を開始しました。
初回来院時の状態
初回来院時にみられた主な症状は、
- 右耳の聞こえにくさ
- 右耳の詰まり感
- 耳鳴り
- 耳の中に音がこもるような違和感
- めまい
でした。
耳の症状以外にも、
- 首・肩・背中のこり
- 腰や臀部のだるさ
- 手足の冷え
- 疲労感
- ストレスによる身体の緊張
などがみられました。
耳の症状だけを局所的に捉えるのではなく、発症前から続いていたストレスや疲労、首肩を中心とした全身の緊張も含めて身体を評価しました。
突発性難聴について
突発性難聴は、明らかな原因を特定できないまま、突然、片方の耳が聞こえにくくなる病気です。
難聴に加えて、
- 耳鳴り
- 耳の詰まり感
- めまい
などを伴うことがあります。
治療の開始が遅くなると回復が難しくなる場合があるため、突然聞こえにくくなったときは、鍼灸院へ来院する前に、できるだけ早く耳鼻咽喉科で検査と治療を受けることが重要です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、突発性難聴では早期治療を最優先とし、発症から2週間以内の治療開始が大切だと案内しています。
当院でも、突発的な難聴や片側の耳鳴り、めまいがある場合は、まず耳鼻咽喉科を受診していただく方針です。
当院での評価
当院では、耳の周囲だけではなく、次のような点を確認しました。
- 首・肩・背部の筋緊張
- 顎や側頭部周囲の緊張
- 姿勢と呼吸の状態
- 睡眠や疲労の程度
- 手足の冷え
- 胃腸の状態
- ストレスに対する身体の反応
- 体調による耳症状の変動
現代医学的には、耳鼻咽喉科での診断や治療内容、発症からの経過を確認しました。
東洋医学的には、耳の症状だけにとらわれず、冷えや疲労、睡眠、ストレス、全身の緊張などを含めて身体の状態を評価しました。
当院で行った施術
施術では、
- 首・肩・背中の筋緊張を緩める
- 顎や側頭部周囲の緊張を整える
- 冷えや全身の循環を考慮する
- 疲労やストレスによる身体の緊張を整える
- その日の体調に応じて刺激量を調整する
ことを目的に、鍼灸施術を行いました。
耳の近くだけに刺激を集中させるのではなく、首肩や背部、手足などを含めて全身を施術しました。
突発性難聴を鍼灸だけで治すという考え方ではありません。耳鼻咽喉科での治療を継続していただきながら、首肩の緊張や疲労、冷えなどを整え、身体が回復しやすい状態をつくることを目指しました。
施術経過
発症から6日後|初回施術
耳鼻咽喉科での治療を継続しながら、当院での鍼灸施術を開始しました。
初回は、右耳の詰まり感や耳鳴り、聞こえにくさに加えて、首・肩・背中の強い緊張がみられました。
耳周囲だけを集中的に刺激するのではなく、首肩、背部、手足などを含めて身体全体を調整しました。
初回施術から約3日後
初回施術から3日ほどたった頃、耳が「ポコッ」と抜けるような感覚があり、詰まり感や聞こえ方に変化を感じられたとのことでした。
初回来院時と比較して、耳の詰まり感はやや軽くなっていました。
ただし、この経過には耳鼻咽喉科での治療、自然経過、休養や生活状態なども関係しているため、鍼灸施術だけによる変化とは断定していません。
別の鍼灸院での施術後に症状が変動
次回来院までの間に、知人の紹介で別の鍼灸院を受診されました。
耳の近くへの施術を受けた後、患者様の自覚として、耳の奥に「ズーン」と響くような感覚があり、詰まり感が一時的に強くなったとのことでした。
他院での施術が症状変化の原因であるとは断定できません。
その後は、耳周囲への刺激量にも注意しながら、患者様の反応と全身状態を確認して施術を行いました。
その後の施術経過
再び当院で施術を行い、その後も2~3回ほど継続するなかで、
- 右耳の詰まり感
- 耳鳴り
- 耳の中の違和感
- めまい
は徐々に落ち着いていきました。
耳周囲への強い刺激を重ねるのではなく、首肩や背部の緊張、冷え、疲労など、その日の身体の状態に合わせて施術内容を調整しました。
途中、風邪をひいた際などには、一時的に耳の詰まり感や耳鳴りが強くなることがありました。
しかし、体調が回復すると耳の症状も落ち着き、全体としては安定した状態が続くようになりました。
本症例で大切にしたこと
本症例では、耳の周囲だけを繰り返し刺激するのではなく、
- 首肩や背中の筋緊張
- 睡眠と疲労
- 手足の冷え
- ストレスに対する身体反応
- 風邪などによる体調変化
- 施術に対する身体の反応
を確認しながら、刺激量を調整しました。
耳の症状は、疲労や睡眠不足、風邪など、全身の体調に伴って変動することがあります。
そのため、局所の症状だけを追うのではなく、身体全体の状態を細かく確認し、その日に必要な施術を行うことを重視しました。
考察
突発性難聴が疑われる場合、まず必要なのは早期の耳鼻咽喉科受診です。
本症例でも、症状が現れた翌日に耳鼻咽喉科を受診して治療を開始し、その後、発症から6日後に鍼灸施術を併用しました。
鍼灸では、耳鼻咽喉科での治療を妨げることなく、
- 首肩や背部の強い緊張
- 疲労
- 睡眠
- 冷え
- ストレス
- 全身の体調
などを評価し、身体が回復しやすい状態を整えることを目指します。
本症例では、医療機関での治療を継続しながら鍼灸施術を行い、数回の施術経過のなかで、耳の詰まり感や耳鳴り、めまいなどの自覚症状が徐々に落ち着いていきました。
途中で一時的な症状の変動はありましたが、施術への反応や体調を確認して刺激量を調整することで、その後はおおむね安定しました。
まとめ
本症例は、発症する数日前から強いストレスが重なり、その後、右耳の聞こえにくさ、耳の詰まり感、耳鳴り、めまいなどが突然現れた40代女性の症例です。
症状が現れた翌日に耳鼻咽喉科を受診し、右耳の突発性難聴と診断されました。
医療機関での治療を開始したうえで、発症から6日後に当院で鍼灸施術を開始しました。
初回施術から約3日後には、耳が「ポコッ」と抜けるような感覚があり、耳の詰まり感や聞こえ方に変化がみられました。
その後、症状が一時的に強くなる時期もありましたが、首肩や背部の緊張、冷え、疲労などを確認しながら施術を継続しました。
さらに2~3回ほど施術を重ねるなかで、耳の詰まり感や耳鳴り、めまいなどは徐々に落ち着きました。
風邪をひいた際などには症状が多少変動することがありましたが、体調の回復とともに落ち着き、全体として安定した状態が続くようになりました。
当院では、耳鼻咽喉科での診断と治療を大切にしながら、現代医学と東洋医学の両面から身体を評価しています。
耳だけを見るのではなく、首肩の緊張、疲労、睡眠、冷え、ストレスなどを含めて全身を整え、一人ひとりの体調や反応に合わせて施術を行っています。
突然耳が聞こえにくくなった場合は、鍼灸院への来院より先に、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。
症例掲載についての注意書き
本症例は、患者様の同意を得たうえで、個人が特定されないよう年齢や時期などの情報を一部調整して掲載しています。施術による変化や経過には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。突然の難聴、耳鳴り、耳の詰まり感、めまいが現れた場合は、まず耳鼻咽喉科を受診してください。
症例記事では、鍼灸施術だけで治ったと断定したり、必ず同じ結果が得られると受け取られる表現を避け、医療機関での治療を含めた経過を客観的に記載することが重要です。厚生労働省も、患者の主観に基づく治療効果の体験談や、効果を誤認させる広告表現に注意を求めています。
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